整流管の比較検討

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今回の古典管を使ったSRPP型プリアンプには、整流管として初めてY8ピンソケットを持つAZ11(または
AZ12)を使用します。

本格的な音質検討に入る前に、まず、整流管の音の傾向を知っておきたいと思います。
なぜなら、電圧、電流の設定などの検討を散々行った挙句、音の元凶はただ整流管であったということは
良くあることです。まずは、未知数の部品の確認から始めるのが近道です。


その前に、簡単にAZ11とAZ12の規格をご紹介しておきます。
今回のプリアンプで消費する電流は、ブリーダーに流している電流を含めても10mAに及びませんので、
両者とも十分すぎるスペックです。
ベースは異なりますが、一回り規格の小さいRGN354やRGN504でも十分ですので、機会があれば、そちらも
試してみたいものです。

AZ11の規格 
Ef=4V If=1.1A 
2x500V 70mA
2 x 400V 90mA
2 x 300V 120mA
CL 60uF max

AZ12の規格 
Ef=4V If=2.2A 
2x500V 120mA
2 x 400V 150mA
2 x 300V 200mA
CL 60uF max

一枚目の写真から、Siemens AZ12 (細管)、Bentron AZ12 (Telefunken製)、Telefunken AZ11の
板プレートと、メッシュプレートです。


まずは、現在取り付けてあるSiemens AZ12 からです。
この真空管は、多分、元箱から1950年代から60年代にかけて生産されたものと思われます。AZ12としては
比較的新しいものです。
既に丸一日以上エージングがされていますので、初期に比べればずいぶんと落ち着いてきましたが、それ
でも、先日お伝えしたように、ごりごり押し出してくるオーディオ的快感に浸る音です。
が、かなり疲れます。


次にBentron AZ12 このAZ12 はTelefunkenOEM供給したもので、おそらく戦後間もなくに生産されたも
のです。中古で購入したものですので、特にエージングをせずに音を聴いてみます。

真空管は、何故、限度はありますが生産時期が古ければ古いほど音がみずみずしくなるのでしょうかね。
Siemens AZ12 よりさらに高域がワイドレンジになり、全体の切れが良くなります。かなりFiHiです。
ただ、ほしいのは音の傾向は変わりませんので、疲れます。
やはり、AZ12 は、パワーアンプで使いたい整流管です。


さて次に、本題のAZ11です。
まずは、Telefunken の戦前のナス管、板プレートのAZ11です。こちらも中古です。

いいですね。
Bentron AZ12 のレンジ感はそのままに、肩の力をほっと抜いたような軽快な音を聴かせてくれます。
今までの威圧的な音とは違い、心地よい音になってきました。
整流管は怖いですね。

次は、Telefunekn AZ11 ナス管、メッシュプレートです。やはり戦前のもので、板プレートより少し前の
製造となります。小型のナス管が可愛らしいです。こちらも当然ながら中古です。

メッシュプレートは、板プレートと同じ傾向なのですが、僅かに甘さが付きます。ただ、音の広がりが
断然良くなります。教会での声楽は、本当に気持ちよく聞かせてくれます。


今回、比較した整流管は4種類ですが、変化は大きなものがあり、当初、感じていた問題点の半分くらい
は、整流管で解決しそうな感があります。本当、整流管は怖いですね。

今回は、当面の間、AZ11をベースに調整を進めることにします。(ある意味、予定通り?)