20cmユニット用小型平面バッフルの製作 その6

前回までで、平面バッフルのスタンド部まで出来ましたので、ここからは試聴をしながら音決めの作業に入ります。今回の平面バッフルは、スタンドなど色々と新しい試みをしましたので、それらについて、少しづつ検証して行きたいと思います。
 
取り付けるユニットは、Telefunken のフィールドコイル型、今年の春先でしたか2ヶ月ほどエージングを兼ねて試聴したユニットです。ユニット自体の音の変化は落ち着いていると思われますが、少し期間が開きましたので、念のため、8月の終わりごろから穴開けの終わったバッフルに取り付け、慣らし運転をしていました。多分、ユニットの変化にあまり影響されずバッフルの音決め作業が出来ると思います。
 
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これは、色々テストする為に製作した小物です。
 
まず最初は、ユニットのアース接地などは行わず、単純に小型平面バッフルとしての音を確認します。
 
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先ほど紹介した板状の板を、スタンドとバッフルの隙間に楔のように入れ、バッフルのみで直立させます。これで、アース接地用の支柱からユニットが離され、今までの平面バッフルと同じ条件となります。
 
したがって、この時点での相違点は、バッフルの面積が約半分になったことと、材質が米松合板からタモ集成材に変わった2点となります。
 
また、先ほども説明しましたが、このTelefunkenのユニットは、春先に900mm×600mmの平面バッフルに取り付け暫く聴いていましたので、バッフルの違いによる変化があれば、直ぐに分かります。
 
 
さて、色々なジャンルのCDを一通り再生してみて感じたことですが、確かに、バッフルが半分になったことで低域のレンジは狭くなっていますが、音の密度は圧倒的に濃くなり、明快な音になりました。これは、多分、タモ集成材が効いていると思われますが、ちょっとFiHi調になり過ぎのようにも感じられます。30mmの板厚は、ちょっと厚すぎたかもしれません。
 
 
次に、楔を外してユニットをアース接地にして、確認して見ます。
 
これは、想像以上の変化です。 中域から高域にかけて、クオリティーが数段上がり、情報量も増えたように感じられます。中域から高域にかけての能率も上がったように感じられ、変化というより激変といっても良いと思います。先ほど、FiHi調と書きましたが、さらに、それは加速され、70年近く前のユニットとは到底思えません。
 
と、最初は、凄いな、と重いながら聴いていたのですが、暫くすると違和感を感じ始めました。これはフィーリングの問題ですが、何か居心地が悪いのです。音を聴けば確かに、良い、のですが、私の求める方向とはちょっと、違う、といった感じです。一つは、奥への広がりが乏しくなった感じ、といいますか、ユニットから前方にだけ音が勢い良く放出されている感じです。私としては、音がそこに置かれて自然に広がってゆくイメージが欲しいので、ちょっと方向が違います。また、周波数によって余韻が違っているようにも感じられます。確認の為、ピアノコンチェルトをかけてみますと、ある特定の音だけ余韻が短く感じられます。
 
これは想像ですが、ユニット、支柱、大地、と接触部分からの反射によって音が打ち消されているのではないでしょうか?験しに、ユニットと支柱の接触部分に薄い皮を入れてみましたところ、この余韻の違う感じは、ずいぶん緩和されました。もし推測が正しいならこの問題を解決するのはなかなか大変です。多分方法は、ユニット、支柱、大地と完全に一体化して、結合部で反射が起きないようにするか。または、支柱部分で完全に振動を吸収してしまうかのどちらかだと思います。どちらも一筋縄で行くようには思えませんので、大地アースについては、もう少し検討が必要のように思います。