Klangfilm KL42006 励磁型 30cmフルレンジスピーカー

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Klangfilm KL42006 励磁型30cmフルレンジスピーカー

Klangfilmは、戦前からドイツの劇場用機材を手掛けているメーカーですが、当時は国営的な要素が
強かった企業で、製品の開発はSiemensTelefunkenが大きく関わっていました。
Klangfilmの真空管は、全てドイツの各社から供給されたものというのは、よく知られた話です。
このKL42006にもTelefunkenにL48という同型のスピーカーが存在します。


このユニットの特徴は幾つかあるのですが、一つは、大型の励磁回路(フィールドコイル)を持って
いること、もう一つはセンターダンパー式であること、そして最大の特徴は、5mm程度しかないショート
ボイスコイルを採用している点でしょうか。(ボイスコイルを初めて見た時は、びっくりしました)
また、エッジを含めコーン紙はとても硬く、コーン紙を手で押してもほとんど動きません。音を聴いた
ことが無ければ、これで本当に音が出るのか心配になるところです。

このユニットを分解してみると分かるのですが(コーン紙などは全てビスで固定されていますので、用意
に分解できます)磁気回路やセンターダンパーなどなど、非常に精密に作られています。 非常に狭い、
ギャップに正確にボイスコイルが収まっているさまを見ると、当時の技術力の凄まじさを感じます。
ドイツのフルレンジスピーカーとしては、最高傑作だと私は思います。おそらく、世界的に見てもこの
ようなフルレンジユニットはないのではないでしょうか。

写真のKL42006は、戦前のもので、重い磁気回路を支える金具が付けられていますのでシネマシステム
で使用されていたものと思われます。コーン紙には、Klangfilmの認証スタンプが押されており、全て
当時のものであることが分かります。
製造からすでに80年近く経過していますが、コーン紙共々大変状態の良いサンプルです。ドイツのユニッ
トは、ユニット自体を防塵ネットで覆って使用していますので、その効果もあると思います。

さて気になる音ですが、まさに精密そのものと言える音です。まったく音が滲むことがありません。
シングルコーンながら高域も十分で、また低域も下の方までレンジが伸びています。その上、圧倒的な
能率の高さで、10畳程度の広さなら1W程度で十分楽しめます。
それにしても、あの硬いコーン紙から、よくこんなのびのびした音が出るものです。
現在、専用の平面バッフルを製作していますので、完成しましたら改めてお知らせする予定です。




-------- コラム -------
このKlangfilm KL42006は、長野県にお住まいでKlangfilm研究家であるK氏より御譲りいただいた
ものです。私が、K氏のお宅へお招きいただいたのは2006年の冬でした。当初このKL42006の音が聴き
たくてお訪ねしたのですが、室内に案内されて、びっくり。歴代のKlangfilmシステム(オイロッパ・
ジュニア、初期励磁型オイロダインなどなど)がずらっと並び、幻のコンスキ&クリュガーまで整然と
並んでいるではありませんか。(歴代のKlangfilmシステムを聴き比べる機会は、きっとこの先もない
でしょう)Klangfilmの貴重なお話も聞かせていただき、貴重な体験をさせていただきました。
ちょうど私が伺った一週間後に、管球王国の取材があり、このユニットはその取材を待って譲って
頂きました。