フルレンジスピーカーのための真空管アンプの設計と製作、その21

ドイツのPOST Tube Ba を使用したカスコード型ラインアンプも、ようやく音質をチューニングできる
ところまでたどり着きました。

音質に影響を与える部分は、以前書きました部品レイアウト、シャーシー構造、グランド設計を含め山ほど
ありますが、この時点でまずしなければならないチューニングは、増幅回路にかかる電圧と電流の調整
による音のバランス取りです。
部分的には性能を確保する点から変更できない電圧値もありますし、真空管の性能上規格をオーバーする
使用法はできませんので、限られた中での変更になります。
ですが、僅かな電圧や電流の変化でも音質に大きな影響を及ぼす場合がありますので、確認しながら慎重
にチューニングを進めます。


まずは、現状の状態で音を聴いてみるところからスタートです。

いろいろなジャンルのCDを一通り聴いてみて、まず、バランス的には大きく崩れたり抜けたりする帯域
もなく悪くありません。ですが、ちょっと表現が暗めで、開放感にかける点があります。
ただ、非常に高域が繊細で洗練されていること、また低域も期待以上に伸びています。
総合的にいえることは、今まで聴いてきた真空管式のプリアンプとは、全く異なる質感です。

さて、それでは各電圧を変更して変化を確認してゆきます。
まずは、表現が暗い点がありましたので、少しずつ+B電源の電圧を上げてみます。
+B電源の電圧を上げると、下側管のプレートにかかる電圧も上昇してしまいますので、単純に電圧だけ
の変化ではありませんが、通常、電圧を上げてゆくと表現は明るい方向へ向かいます。
当然、あるポイントを超えるとだんだんと表現は荒くきついもになって行きますので、最良のポインで、
まずは電圧を固定します。

これだけでも、音質的にはかなりの改善があります。この状態で、また次の部分の電圧を変化させて、
音質の変化を確認してゆくわけですが、この先の、チューニングについてはまた後日ご報告します。

まだまだ始まったばかりですが、このラインアンプ、音楽を聴いてきて楽しい。
深夜などは、時間を忘れてもっともっと音楽を聴いていたいと思わせてくれる魔力を持っています。