第二章 フルレンジスピーカーのための真空管アンプの設計と製作、その2

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写真は、カスコード専用管のTFK ECC8100、Valvo PCC84、ECC84、Mazda ECC189、TFK PCC189 です。

さて、使用する真空管をカスコード専用管のPCC189、ECC189にするため、各部を変更します。
幸いE80CCとECC189とではピン配置も大きく変わりませんし、計算しましたところバイアス抵抗や電圧
配分も大きな変更をしなくてもよさそうです。早速、僅かな変更を施して実験開始です。

最初は、E80CCで問題のあったGm の非直線性からくる波形の崩れについて確認してみます。
予想では、カスコード専用管はGmの直線性が改良されているはずですので、波形の崩れは改善される
はずです。実際にECC189を装着して確認してみますと、予想したとおりGmの直線性は優秀なようで、
E80CCのときのような波形の崩れは見られません。安定度もよさそうです。

残留ノイズについては、すでにE80CCで確認できたように、傍熱管ですので全く問題ありません。
このことは、フィラメントから流入するハムノイズ対策のためのバイパスコンデンサーが必要なくなる
ことにつながり(ECC189は高Gm管のため、回路の増幅度から見てもバイパスコンデンサーはない方が
都合が良い)また、フィクスバイアスを採用する必要もありません。

また、Baのときに問題になった、電源トランスからの漏れ磁束による影響も確認できませんでした。
最初は、シールドの装着も視野に入れていましたが、シールドは必要ありませんでした。
これは、MT管はプレートが小さく、トランスからの漏れ磁束に強い設計になっていると考えられます。

カスコード回路として残る問題点は、最大入力レベルがどれくらい確保できるかという点です。
こちらは、現状でBa使用時より改善されていますで、この後、音質を追い詰める段階で、音質と相談
しながら確認してゆくつもりです。

以上のように当初の目的どおり、かなりシンプルな構成でカスコード型ラインアンプができることが確認
できたわけですが、残る問題は、直熱三極管Baを使用した場合と同じような音質を得られるかどうかです。
また、部品を集めていて分かったのですが、アルプスのデテントボリュームは製造中止になって入手が
できなくなっていました。今までは、昔、まとめて購入したものを使用していたので気が付くのが遅れて
しまいました。ネットで良質なボリュームを探してみましたが、手ごろな価格でよいものは見つかりません。
ボリュームに数万円を出費すのは勇気がいります。
また、MT管用のソケットも、当初シンチを予定していたのですが結局見つかりませんでしたし、だんだん
信頼できる部品の入手が難しくなってきました。