フルレンジスピーカーのための真空管アンプの設計と製作、その41

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出力バッファー段を追加したBa-ECC189カスコード型ラインアンプの続きです。

出力バッファーとして使用しているECC189のカソードフォロワ回路ですが、ECC189はECC88同様に
低電圧大電流での使用が一般的ですが、カソードフォロワとした場合、あまり電流を増やすと音質的
には、どうもよくないようです。

また、前回お話しましたが、気になる点が1点あります。只今、変更作業をしているのですが、それは、
出力バッファー段の位置です。
現在は、ラインアンプとしての出力インピーダンスを下げるために、最初の回路図のようにバッファー段
を最後尾に持ってきています。そして、バランスボリュームとボリュームをカスコード回路とバッファー
回路の間に置いて、バランスボリュームとボリュームの影響を少なくするようにしています。
ですが、この回路ですと、バランスボリューム、ボリュームの前後にDCカット用のカップリングコンデン
サーが入ることになります。(バッファー段のグリッドは+80V前後のバイアスが掛かっていますのでカッ
プリングコンデンサーが必要です)性能の良いフィルムコンデンサーとはいえ、信号系にはあまり多く入
れたくはありません。
そこで、2つ目の回路図のように、バランスボリュームとボリュームの位置を最後尾に持ってきます。
こうすることによってカスコード回路とバッファー回路の間のカップリングコンデンサーは1個で済みま
すし、その上、カスコード回路の出力には高電圧大容量のコンデンサーが必要でしたが、バッファー回路
の入力インピーダンスが高いために容量を少なく出来ます。そして、バッファー回路のグリッドには+80程度にバイアスが掛かっていますから、その分耐圧の低いコンデンサーが利用できます。

ただマイナス面として、バッファー回路の後にバランスボリュームとボリュームがきますので、ライン
アンプとしての出力インピーダンスが上がってしまいます。(それでも、出力バッファー段が無いとき
より、出力インピーダンスはかなり低くなります)
理論的に考えれば、出力バッファー段の意味が薄れ良くない回路ですが、理論で音楽を聴くわけではあり
ませんので、低出力インピーダンスかフィルムコンデンサー1個か、どちらが音に大きく影響を与えるか
興味深いところです。