フルレンジスピーカーのための真空管アンプの設計と製作、その17

イメージ 1

写真は、Siemens Basを装着したBa-EC88カスケード型ラインアンプ。



Ba-EC88カスケード型ラインアンプの残留ノイズ対策

残留ノイズですが、試作品でいろいろと検討しましたので、大体の流入経路は把握しています。
ですが、試作品より数値が大きくなっている点が気になります。もしかしたら別の要素があるかもしれません。
まずは、一つ一つ確認してみました。

+B電源からの流入。 
こちらは試作品と変わらず、特にノイズ成分が増えた形跡はないようです。

フィラメント用電源巻線からの流入。 
こちらは試作品に対して若干ノイズ成分が増えているようですが、それほどの変化とは思えません。

電源トランスの漏れ磁束による流入。 
こちらは、試作品よりサイズをコンパクトにした関係上、電源トランスと増幅回路が近くなっています
ので、もしかしたら影響があるかもしれません。電源トランスは漏れ磁束対策で磁気シールドを施して
いますが、何はともあれ確認してみなければ安心できません。
ちょっと大変な作業ですが、実験的にトランスをケースの外へ出して確認してみます。

おぉ~。残留ノイズが変化します。 電源トランスの影響アリです。

Baのプレートは大きいですから影響も大きいんですね。
困りました。さてどうしましょう。今からではケースを大きくすることはできません。

と思いつつ、そういえばBaにはシールド用の塗装がされたBasというタイプがあったはず。
私のストックにも確かBasが数本あったはずなのですが。
・・・・・。
ありました。Siemens Bas が2本出てきました。
シールド塗装はベースピンに接続されています。これをグランドへ落としてやれば、上手く行けば
漏れ磁束の影響を遮断できるかもしれません。
早速、淡い期待を胸にBasへ変更してシールドをシャーシーグランドへ落として実験開始です。

すごい! シールドよく効いています。一気に残留ノイズレベルが試作品レベルまで下がりました。
シールドが所々落ちていたので効果があるか心配だったのですが、少しの剥がれは影響がないようです。
まずは、一安心。

これで、残留ノイズはOK? としたいのですが、できれば完全になくしたいものです。
時々、真空管アンプはハムノイズがあったほうが音がいいんだなんて無茶なことをいう人がいますが、
私は音楽の邪魔になるようなノイズはないに越したことはないと思います。
それにハムノイズがあったほうがいい音だなんて、エンジニアとして許せません。

もう少し残留ノイズ対策が続きますが、お付き合い下さい。



--------------コラム--------------
真空管コレクターの方の中には、シールドコーティングは内部が見えないから邪魔だといってコーティング
を剥がしてしまう方が見えますが、ちゃんと役割を持っていますので、むやみに剥がすのは止めましょう。
私の友人のD氏は、少し前までコーティングのある真空管を見るとためらわず剥がしていました。
(以前紹介したPTT2sもコーティングを剥がしたのはD氏です)
私がそれを見るたびに「それはそれで役割があって、味わいもあるから止めて」といい続けていました。
最近、D氏もやっとそれが分かったようでコーティングのある真空管も悪くないと言い出しました。
私はコーティングのある真空管も大好き、コーティングも含めて楽しみたいものです。