フルレンジスピーカーのための真空管アンプの設計と製作、その35

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今日は、先日ドイツより届きましたフィルムコンデンサーを、セルフバイアスのBa-EC88 ラインアンプの
バイパスコンデンサーに挿入して変化を確認しましたので、その結果をご報告します。

バイパスコンデンサーは、バイアス抵抗にパラ接続しているコンデンサーで、現状は電解コンデンサーを
使用していますが、電解コンデンサーは特性的にはフィルコンデンサーに劣る部分が大きいため、この電解
コンデンサーをフィルムコンデンサーに置き換えて音の変化を確認します。


最初は、ドイツ製のMKT型フィルムコンデンサーです。
大容量のフィルムコンデンサーとしては小さいサイズですが、実際に回路に入れてみるとかなり大きい
です。メーカーで設計していた者の目から見ると、こんなでっかいコンデンサーをぶら下げるなんて、
なんともみっともない姿です。(昔の同僚に見られたら、笑われそうです)
とりあえず、見た目上の問題は置いておいて、音の変化を確認してみます。

まず最初に感じることは、胸につかえていたものが、すっと消えたように、音の抜けが良くなりました。
高域も透明度が増し、何より低域のスケール感が違います。これは、容量的に電解コンデンサーより10uF
程度アップして56uFになっていることが原因かもしれませんが、もともと充実していたセルフバイアスの
中低域が、より透明感を増しスケール感も増しました。
こうなってくると、音質で優位になっていたフィクスバイアスが見劣りしてきます。


次に、Siemens MKL型フィルムコンデンサーです。
こちらもMKT型と同じように音の抜けは格段に良くなります。MKT型と異なる点は、中低域のスケール感
は劣るのですが、圧倒的に中高域に透明感と張りがあります。もともと充実していたセルフバイアスの
低域に透明感と張りのある中高域が加わるわけですから、もう言うことはありません。
どんな音楽を聴いても気持ちよく楽しいです。
音質的に、これ以上何を求めるのだろうと思ってしまいます。


これで、セルフバイアスのBa-EC88ラインアンプも音質的に十分過ぎるほどに良くなりましたので、次回
は、出力バッファーを追加して、その効果を検証してみる予定です。