フルレンジスピーカーのための真空管アンプの設計と製作、その38

セルフバイアスのBa-EC88 ラインアンプに出力バッファー段を追加した結果報告ですが、今のところ、
なかなか思い通りの結果にはなっておりません。


追加した出力バッファーは、正常に動作しているのですが、問題は出力バッファーを追加したことで、
肝心のカスコード回路へ供給している+B電源電圧が計算値より大きく落ちてしまい(これだけ違うと、
計算違いと言った方が良いかもしれません)、電圧バランスが完全に崩れてしまいました。 
このことにより、カスコード回路の性能も落ちることになりますが、それより音への影響が大きく、
まるで駄目なアンプとなってしまいました。(出力バッファー段を追加する前と比べて)

カスコード回路へ供給している+B電源の電圧を上げるには、電源のπ型フィルターにある抵抗値を調整
すればある程度調整できるのですが、ことは、そう単純でもないのです。なぜなら、今度は、出力バッ
ファーに使用しているECC189の最大プレート電圧の問題があり、単純に電圧を上げることはできない
のです。これは電源のπ型フィルターからの電源供給ラインが、カスコード回路へ流入する電源リップル
を最小にしたいため、出力バッファーへの供給ラインがカスコード回路への供給ラインの全段になってい
るためで、まさに「あちらを立てれば、こちら立たず」という構図です。

一番良い方法は、現在シリーズ接続で各回路へ電源を供給している電源のπ型フィルターをシリーズに
せず、2段目からカスコード回路用と出力バッファー用にそれぞれにπ型フィルターを設けてやれば、
供給電圧を各々調整できることになり問題は解決するわけですが。
しかし、そうなると新たにπ型フィルターを1つ追加することになり、今度は物理的な問題が出てきます。
増幅回路周辺は、密集地帯なの大きなオイルコンデンサーのスペースはないし、さてどうしたものか。

何時もそうですが、新しい物を生み出すときはなかなか思うようには行きません。