フルレンジスピーカーのための真空管アンプの設計と製作、その39

引き続き、セルフバイアスのBa-EC88 ラインアンプに出力バッファーを追加する実験です。

前回、お話しましたように格段へ供給する電源回路に問題が出てきましたので、電源回路を変更する
ことにしました。
空きスペースがない所へ、何とか5uF/310vコンデンサーを追加して、電源供給ラインをカスコード回路
用とバッファー回路用に分け、あとは、各段へ供給する+B電源電圧を調整して、改造は終了です。

さて、早速ではありますが、一応、当初の計算どおり各回路が動き出しましたので音を確認します。
電源回路を変更する前は、さんざんな音でしたので、心配なところです。

一通りのCDを聴いて、出力バッファーを追加する前の音に大分近づいて来ました。
ただ、出力バッファーを追加したことで、音の押し出しが良くなったことは確認できますが、その他は、
まだまだです。 音の立ち上がりは鈍いですし、全体的にどこか音が濁っていて純度がありません。
全体的に下品な音と言えばよいでしょうか。
こちらに音を押し付けるようで、音楽を聴いていても楽しくなってきません。

カスコード回路部の音は既に検討済みですので、問題はバッファー段を追加したことによるものだけ
です。これが、単純にバッファー段の検討不足によるものなのか、それとも、バッファー段を追加する
ために増えた部品によるものなのかは、まだ分かりません。

バッファー回路はゲインが無い回路なので、もう少し色付けがないと想像していたのですが、ちょっと
甘かったですね。一瞬、バッファー回路も同じ直熱三極管Ba で組まないと音の純度がカスコード回路
と合わないという考えが横切りましたが、今は考えないようにしています。
そこまで行くと、あまりにも大規模なものになりますし、ラインアンプとパワーアンプの間を5m以上
離す事など、音のことを考えれば普通はしないので、出力バッファー無しで十分と言うことになります。
出力バッファーの圧倒的な優位性が確認できなければ、回路をシンプルにする意味からも無い方がまし
です。

なんにせよ、出力バッファーの検討は、まだ始まったばかりなのでこの先の変化に期待します。