ヒーターバイアスの検討

SRPP回路の上管に使用していますEC88のヒーターですが、製作時に、ヒーターを交流的に接地する為の
ヒーターバイアス回路を設けています。

現状は、ヒーターを接地した場合と非接地にした場合の残留ノイズを比較確認する為に、まだ、ヒーター
バイアスをかけていない(非接地)状態ですが、今回は、この上管のヒーターを交流的に接地した場合と
接地しない場合の違いについて、検討をしてみました。


まずは、ヒーターバイアスをかけない(ヒーター非接地)状態で、残留ノイズを確認してみます。
結果は、ボリュームMAX状態で、僅かにスピーカーからハムノイズが聞こえます。
(使用しているスピーカーは、高能率のKlangfilm KL42006 です)

次に、ヒターバイアスをかけた(ヒーター接地)状態で、残留ノイズを確認してみますと、ボリューム
MAX状態で、僅かに確認された残留ノイズは綺麗になくなります。
やはり、MT管とはいえ、SRPP上管のヒーターハムノイズが出力に出ていることが分かります。
ただ、ほとんど使用することのないボリュームMAX時での、僅かに観測される残留ノイズなので、絶対に
ヒターバイアス回路が必要とまではいえません。

が、しかし、意外なところで、このヒーターバイアス回路の重要性が出てきました。
それは、音の違いです。
ヒーターバイアスをかけた場合と、かけない場合とでは明らかに音質に差が出てきます。
バイアスをかけヒーターを接地すると、静寂が増し、今まで荒れ馬だった音がグット落ち着いてくるのです。

僅かとはいえ、接地しない場合は残留ノイズが増える訳ですから、その分ひずみっぽくなることは予測で
きますが、この音質の差は、それより遥かに大きいです。
真空管のヒーターがふらついていることが、かなり音に影響するのでしょう。
やはり、ちゃんと交流的にグランドへ接地することは重要なことです。

もし、残留ノイズにほとんど差がなければ、ヒーターバイアス回路は削除しようと考えていましたが、
これだけ音に影響が出ていては絶対に削除できません。


ここまで、まだ整流管とヒーターバイアス回路を検討しただけですが、最初の音とはまるで別物になって
しまいました。
今は、Klangfilm KL42006ととても相性がよいようで、あの寡黙でクールなKL42006を手なずけたかのよう
に豊かに鳴らしています。(最初は、どうなることかと思いましたが)

このプリアンプでは、他にも実験する為の種を仕込んでいますので、まだまだ変化が期待でそうです。