SIEMENS 14シリーズを再度考える その4

SIEMENSのフルレンジスピーカー14シリーズ、前回はVACのマグネットを搭載したタイプでしたが今回は、DEWのマグネットを搭載したタイプです。
 
イメージ 1試聴する前に製造年を確認したところ、1本は判読不明、1本は1951、1本は1955となんとか読めます。1955年となると、前回のVAC搭載の14gより後年に製造されたことになります。今まで色々な所で、後年、VACはSIEMENS専属のマグネットメーカーになったため、DEWを搭載しているのは初期の物だけ、という説明がされていましたが(私もそれを信じていましたが)、意外と後期までVACとDEWが共に採用されていたことになります。良く考えれば、そもそも初期というのは、どこまで(何年ごろまで)の話なのかも良く分からないです。気になります。

そんな訳で、この記事を書きながら、ネットで調べてみました。ですが、製造年まで記載している記事はほとんど見つかりません。そんな中、ドイツ系ヴィンテージスピーカーを詳しく紹介している”German Vintage Speakers”さんで以下のような記事を見つけました。

「AVCマグネット:会社は1923年、Heraeus-Vacuumschmelze AG の名前で設立されました。1933年、ジーメンスが株の大多数を取得しました。Vacuumschmelze Berlinによって、ジーメンスはマグネット製造工場を傘下におさめました。ジーメンスとクラングフィルムのスピーカーだけが、VAC マグネットを備え付けています。1952-53年頃以前には、ジーメンスはドライヴァーのために、マグネットを様々な供給源から得ていました。」
 
ということは、1953年頃までが初期で、それ以降は他社からのマグネットは供給されていないということでしょうか。となると、手元にある1955年のスタンプを持つものは???。もしかしたら私の読み間違えで1955ではなく1953、と思い再度確認しましたが、微妙に擦れていて3と見えなくもありませんが、隣の5と比べても同じ5のように私には見えます。1955なら、スポット的に作られたのでしょうか?ますます、分かりません。
イメージ 2
 













DEW搭載の14gに印刷された年号。私には1955と見えるのだが。

それに、1953年までが初期ということになると、私の持っていたイメージよりかなり近年ということになります。私は、戦後間もなく位までが初期と思っていたのですが、ちょっと違うみたいです。
 
そこで、手元の14シリーズを全て(フィールドコイル搭載の物も含めて)確認してみましたが、残念ながら判読できたのは、VAC、2本とDEW、2本に、何とか読めそうなのがフィールドコイルタイプの2本、文字がつぶれていますが、1950と1948のように見えますがかなり微妙です。他は、すべて判読不能か記載なしでした。残念。
 
そこで、ネット上に上がっているものを片端から確認して年代表記のあるものを書き出してみましたが、製造年の表記があるものは以下の数例だけでした。
 
VACマグネット搭載タイプ。初期の赤いVACマークの物が1点 1950年
リングマグネット搭載タイプ。14a表記の物が1点 1951年
リングマグネット搭載タイプ。スチールフレームの物が2点 1949年と1948年
 
14シリーズは戦後に開発されたスピーカー?
フィールドコイルの物は戦前のラジオに搭載されていたものとばかり思っていたのですが、どうなんでしょう。確証を得るにはサンプル数が少なすぎます。
 
どなたか、詳しい資料などお持ちの方が見えましたら、お教えください。
 
今回は、DEWマグネット搭載の14gを試聴した印象などを書こうと思っていたのですが、製造年の話題だけで長くなってしまいましたので、それは次回にしたいと思います。面白い事に、同じ14gでも雰囲気が違うんですよ。