RS1003三結アンプ 結局モノアンプを2台製作しました。

前回、行きがかり上製作することになりました五極送信管のSiemens RS1003を使用したアンプですが、試作品がなかなか面白い音がしましたので、結局、モノラル仕様で新たに2台製作しました。
 
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RS1003については、書庫「ドイツPOST Tube」で紹介しましたSiemens F3a とほぼ同じ真空管となります。最大プレート損失が60W、ヒーターが6.3V/2.3A10W程度の出力なら簡単に出でそうなオペレーションです。その上、高Gm管ですからドライバー段も楽ときています。その為、このアンプでは、Ba一本で十分なトータルゲインを稼ぎ、ドライブもできています。
 
さて、このアンプの音質ですが、突貫工事で製作した試作品は、6.3V/2.3Aというヒーターがものをいっているのか低域から中域が厚く押し出しの良い音、その上、五極管の三結ですから高域も独特なキラメキがありました。
 
「ありました」というのは、出来上がってきた新たな2台のモノアンプは、何故か低域が乏しい全く違ったアンプだったのです。製作は、D氏に任せたのですが、試作品と同じように作ったということで、原因が良く分かりません。
 
回路もシンプルですから、間違えるということも考えられません。各真空管の電圧、電流値もほぼ同じです。一台だけならまだしも、二台とも同じ傾向ですから、どこかに相違点があるはずです。
 
仕方ないので、音質に影響のあるところから配線をし直す事にしました。結果的にほぼ全ての配線をし直す事になりましたが、原因は一本のワイヤーでした。アンプは、全て、アメリMIL規格のテフロンワイヤーを使用していますが、今回、ライン系に新しく購入したテフロンワイヤーを使っていたのです。
 
ワイヤーは怖いです。同じMIL規格のワイヤーで、こんなに音が違うのは初めての経験です。ちょっと手触りが違ったのでD氏に尋ねたところ、今回初めて使用した新しいワイヤーだとのこと、気が付かなければ、最後まで原因が分からなかったかもしれません。
 
やっと、試作品と同等の音質になり、改めてステレオで聴いてみました。本当にダイナミックな音です。それでも圧迫感がある音ではありませんので、長時間聴いてもあまり疲れることはありません。
 
RS1003は、60Wのプレート損失に対して、今回は僅か12Wしか使用していませんので、その辺も良かったのかもしれません。
 
ちょっと異色ともいえますが、面白いアンプができました。